等級限定内の機体であれば、試験を受けることなく違う機種に乗ることができます。
試験を受ける必要がないということは訓練の必要もないんじゃないの?と思うかもしれません。
今回は等級限定の機体に新たに乗る場合、訓練が必要なのかどうなのかを解説します。

結論:訓練は必要
結論から言うと訓練は必要です。
しかし、訓練しなかったからといって何か罰則があるかというとそうではありません。
等級限定に限らず操縦したことのない航空機を操縦しようとするときの訓練に関する通達が航空局から出ています。
このガイドラインには操縦経験の無い航空機に乗ろうとする時に、どんな内容の教育を受けるべきか、そしてどのくらいの時間訓練するべきかなどが記載されています。
これは等級限定内の機体に限った話ではありません。
航空局の試験が必要な「限定変更」をする場合でも、このガイドラインに則って訓練をし試験に臨む形になります。
飛行機、回転翼航空機、滑空機とそれぞれの場合が記載されていますが、今回は回転翼航空機に限った内容を解説します。
操縦経験の無い型式の機体を操縦する場合
ヘリコプターの場合、操縦経験の無い型式のヘリコプターを操縦する場合は教育訓練を受けなければなりません。
飛行機の場合はいろんな条件がありますが、ヘリコプターの場合はシンプルです。
乗ったことのない型式に乗ろうとするときは教育訓練を受けましょう。
教育訓練の内容
教育訓練を受けなければならないことは分かりました。
次はどんな内容でどのくらいの時間やれば良いかを見ていきましょう。
20時間の学科教育
学科教育については20時間が標準となっています。標準なので人によっては理解に時間がかかったり、その逆もあると思います。
大事なのは自分自身が納得することですので、ここは焦る必要は全くありませんね。
内容については以下の通りです。
- 機体概要及び構造
- 運用限界及び性能
- 諸系統及び取り扱い
- 通常及び緊急操作の手順
ヘリコプターは型式によって構造や系統に違いがあります。
新たに乗る機体の構造や性能について理解し、正しい手順を身につけましょうといった感じです。
10時間の実技教育
実技教育については実機を用いるか、模擬飛行装置又は飛行訓練装置を用いて実施します。
装置は航空法施行規則第238条の2に基づく認定を受けたものに限られます。
内容については以下の通りです。
- 各種離着陸及びその間の通常操作
- 地表付近における操作
- 緊急操作(オートローテーション、一発動機故障(多発機の場合)を含む)
- 技量確認
通常の離着陸に加えて狭い場所での離着陸を想定した、MAX Take-offやSteep Approachを実施します。
また浮揚や接地を含めたホバリング操作、そしてオートローテーションは絶対外せませんね。何回もやります。
教育訓練の実施者
教育訓練を監督する者の条件としてガイドラインには以下のように記載されています。
教育訓練は、機長として当該型式航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明(航空身体検査証明にあっては、模擬飛行装置又は飛行訓練装置により実技教育を行う場合を除く。)を有する者であって、当該型式航空機や発航方法に係る知識及び操縦経験を有するものの監督の下で行うものとする。
当たり前の話ですが、乗れる人に教えてもらいましょう。
学科20時間、実技10時間で足りるのか?
ここからは私の経験の話になりますが、実際に学科20時間と実技10時間で足りるのかというところです。
私は民間会社のパイロットなので教育体制はしっかりしている方だと思います。
新しい型式に移行する際は整備士からの学科教育と操縦士からの学科教育を受けてそれから実技での訓練になります。
結論を申し上げると学科教育20時だけでは足りません。
どこまで踏み込むかによりますが、CABの試験に合格できるぐらいのレベルにするには学科教育+自習が欠かせないと思います。
厳密に何時間自習しているかは分かりませんが、教育の場で教えてもらったことを自分で整理し、理解を深める時間は必要です。
実技訓練については10時間乗ればだいぶ機体に慣れてきます。
人によって違いはあると思いますが実技は10時間あれば十分かと思います。